マーケティング戦略の基本中の基本【まとめ】
物売りの基本要素とは
売り手の視点「4P」
多くの日本人はモノを買いたくないわけではなく、買うための動機付けが欲しいと考えている。
モノを売買するときに決め手になるものを整理する考え方として「4P」があります。
①製品 Product | 品質、種類、デザイン、サービスなど |
②価格 Price | 希望価格、値引き |
③流通 Place | チャネル、運送、在庫、場所 |
④販促 Promotion | 広報、広告、販売促進 |
買い手の視点「4C」
一方で、買い手の気持ちを揺さぶる要素として「4C」があります。
- 価値 Customer Value
- 費用 Cost
- コミュニケーション Communication
- 利便性 Convenience
売れる商品とは
売れる商品や人が何を求めているか考えるとき、マーケティングでは「ニーズ」と「ウォンツ」がある。
ニーズは機能に対する必要性ではない
交通の便が悪い地域に住む人にとって車は必需品→車を持ちたいという「ニーズ」
一方、都心部に住む人に車を持ちたいというニーズはありません。公共交通機関が発達しているため車を持たなくても移動に困らない。
都心部に住む人には、「車」に対するニーズは少ない。
ここにあるニーズは「交通手段」でしたが、別の要素にニーズが存在している。例えば、スポーツカーや高級車など所有欲を満たしやすいもの。
ウォンツとは潜在的なニーズのこと
ハイブリッドカーが売れるようになってきていますが、これは「環境に配慮した車」というニーズは潜在化しており、顕在化していなかったようです。
「環境に配慮した車があれば欲しいな」というニーズを顕在化してハイブリッドカーというマーケットが産まれ成長した結果です。
ニーズもウォンツも感じていない場合には、商品を認識してもらう必要がある
- 無料サンプルの配布
- イベント開催
- メディアへのPR
これらの施策によって商品の良さを伝えれば、試用したユーザーはニーズを感じ始める。
売れる商品を開発するには、ユーザーのより高度なニーズを見極めることが重要です。
購買行動・意思決定プロセス
AIDMAの法則
Attention | 注意 | 製品の存在を記事などで知る |
Interest | 興味 | 製品の使用をみかける |
Desire | 欲求 | 製品の事が知りたくなり、調べる |
Memory | 記憶連想 | 製品の販売所へ行く |
Action | 行動 | 製品を試用してみる |
現代ではこれらの要素に加え、「検索」や「共有」などの概念が追加されている。
「Search」・「Share」など。
購買意思決定プロセス
消費者が購買決定に至るまでの行動を「購買意思決定プロセス」という考え方があります。
①問題認識 | 何かを欲しいということに気づいた段階 |
②情報探索行動 | その欲しい商品に関する情報を探す段階 |
③情報評価行動 | その商品について集めた情報を基に、買うに値するか評価する段階 |
④購買決定 | その商品の購入を決定する段階 |
⑤購買後評価 | 実際に手に入れたことにより、商品に対する補足や不満足を経験する段階 |
顧客を絞り込む「ターゲティング」
商品・サービスは誰に売り、誰なら買ってくれるのか?
先ほどの「ニーズ」・「ウォンツ」といっても全てをひとまとめに出来るわけではなく求める物は異なります。それでも全ての「ニーズ」や「ウォンツ」に合わせるのであればビジネスとして成立しなくなってしまいます。
そこで企業は商品やサービスを提案するマーケットを探すために「顧客を絞り込む」必要があります。
顧客をグループとして考える「セグメンテーション」
自動車を例として考えると
- 若者向けスポーツカー
- 街乗り中心のコンパクトカー
- ファミリー向けミニバン
- 高級車セダン
などそれぞれ需要があって、年代別のシーンに合わせたセグメンテーションを設定しています。
また、そのように用意することは「フルラインナップ戦略」といい、あらゆるターゲットのニーズに対応するように商品を開発・販売することをいいます。
複数あるセグメントに対し、どのように対応するかが重要な戦略です。
他にも、セグメンテーションを一切考慮しない「無差別型マーケティング」や各セグメントに適切なマーケティングミックスでアプローチする「差別型マーケティング」や、特定のセグメントだけに特化してマーケティングミックスを展開し、他のセグメントには手を出さない「集中型マーケティング」があります。
商品の価格を決める「価格戦略」
売り手にとっていくらで売り、買い手はいくらなら買いたいと思うのか。
3つの価格決定方針
決定方針 | 理論 | 決め方 |
原価志向型 | 供給側の理論 | コストに必要な利益分を上乗せ |
競争志向型 | 市場の理論 | 競争関係にある商品との質の違いを考慮し 価格面からバランスをとる(競争的) |
需要志向型 | 需要側の理論 | どのくらいの値段であれば需要があるのかを調査により決定 |
業界位置を知る5つの競争要因「ファイブ・フォース・モデル」
「ファイブ・フォース・モデル」は業界構造を5つの競争要因で説明するモデルです。
これによって、複雑な業界の構造を整理できるとともに、競争の最重要要因を特定することができ、さらには収益性を向上させる戦略を策定できるようになります。
説明 | |
①現在の競争業者間の敵対関係 | 業界内で競い合う関係にある他社との関係の変化 |
②新規参入業者の脅威 | 競合関係にない企業が新規参入する脅威 |
③代替品の脅威 | 提供している商品の代わりとなる商品が出てくる脅威 |
④買い手の交渉力の変化 | 購入者が持つ値段への変化 |
⑤売り手(供給業者)の交渉力の変化 | 商品材料の供給業者が持つ、値段への影響力の変化 |
以上の分類から、取り組むべき最重要要因と特定できます。
4つの競争地位別戦略
ファイブ・フォース・モデルにおける業者間敵対関係での位置を「競争地位別戦略」といいます。
- リーダー
- チャレンジャー
- ニッチャー
- フォロワー
に分類されます。
リーダー
「量的経営資源にも質的経営資源にも優れる企業」と定義され、一般に業界のマーケットシェア第1位の企業を指します。市場全体の拡大を図り、他社との競合を避ける戦略をとります。
チャレンジャー
「量的経営資源には優れるが、質的経営資源がリーダー企業に対して相対的に劣るような企業」と定義され、リーダー企業に対して相対的に劣るような企業と定義され、リーダーの地位を狙う立場にある企業を指します。
通常は業界の2~4位を指し、製品差別化や市場細分化などにより、限られた分野に集中する戦略をとります。
ニッチャー
「質的経営資源には優れるが、量的経営資源がリーダー企業に対して相対的に劣るような企業」と定義されます。リーダーのようなフルライン政策や量の拡大を狙わず、リーダーが興味を持たない限られた分野で優れた技術力を発揮させる戦略をとります。
フォロワー
「量的経営資源にも、質的経営資源にも劣る企業」と定義され、ただちにリーダーの地位を狙えないような企業を指します。リーダーやチャレンジャーが施工した路線を模倣することで、コストダウンを図る戦略をとります。
クラウゼヴィッツの戦争論
業界内で競争地位に応じた戦略で、「クラウゼヴィッツの戦争論」があります。
自社と競合他社との関係によって、どの戦略をとるべきか説明したものです。
防御戦の原則
- 強力な競争相手の動きは、必ず封じること
- 最上の防御戦略は、自ら攻撃するだけの勇気を持つこと
- マーケットリーダーのみがとるべき原則
攻撃戦の原則
- 攻撃は、出来るだけ狭い全線でおこなうこと
- リーダーの強みの中に弱点を見つけて、その弱点をたたくこと
- 主として、リーダーのポジションの強さを考慮すること
・側面攻撃の原則
- 優れた側面攻撃とは、敵の虚を突く無競争の分野でおこなうこと
- 戦術的に相手を驚かすことが、計画の重要な要素になっていなければならない
- 攻撃もさることながら、追撃も同じように重要不可欠である
ゲリラ戦の原則
- 防御できる程度の小さい市場セグメントを見つけること
- どんなに成功しても、リーダーのようにふるまってはいけない
- 瞬時に逃げ出せるよう、用意を怠ってはならない
メッセージの「説得力」とは
こちらが発信したメッセージに対して、「なるほど」と受け取ってもらうためには説得力が必要になります。相手に会った理由付けができるかどうかでメッセージの説得力が決まります。
メッセージは「相手が大切だと感じることを達成できる」という内容でなければならない。
説得力を高めるためには、「相手が大切にしている物 = 相手の価値基準」を推測する必要があります。
- 消費者の興味や関心を第一にする
- 消費者の認識を意識する
- 早い者勝ちであることを忘れない
- 成功のカギは本物であること
ビジネスや商売において、メッセージの目的は4つしかない
- ある属性に関する評価を改善するようにメッセージを送る
- ある属性の重要性を変化させるようにメッセージを送る
- 全く新しい属性を付加するようにメッセージを送る
- 競合商品への評価を低下させるようにメッセージを送る
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